スクーターでちょっとおでかけ・・・夏の景色・道草写真
伊東の夏は、海や山がきらきらとしています。
海沿いの国道を走る車も、気持ちがよさそうです。
こんな晴れた日は、おでかけしかない!
スクーターで初めての道を走ってみました。
車だとうまく引き返せない細い小道も、
スクーターなら、へっちゃらです!
海・・・いつみても綺麗だな、と思います。
磯辺の岩に腰かけ、足を澄んだ海に浸したい衝動にかられます。
一部分が、ターコイズ。
この海は、浅いと思うと急に深くなる場所があります。
ですので時折、大きな船や潜水艦が停泊することがあります。
こちら、私のお気に入りの一枚。
山の谷間を埋める住宅が、まるで地中海のような明るい洋の雰囲気を醸し出していますが、左手前に魚の干物をつくる籠が映り込んでいます。
この陽射しを利用するローカルな道具で、ここは日本なのだと実感します。
何気ない風景ですが、こちらの写真で思い出すアート作品があります。
イラストレーターの鈴木英人さんの作品・・・ご存知の方も多いのではないでしょうか。
1970年代から活躍されている鈴木さんのイラストを、初めて知ったのは学生時代でした。
私より一回り年配の友人が貸してくれた画集の中に、鈴木英人さんのものがあったのです。
月並みな言葉ですが、ノスタルジックで、洋風で、カラフルで、おしゃれで、海と車と潮風がそのまま描き込まれている、そんな作品の数々に圧倒されました。
・・・いえ、私のつたない写真が、鈴木さんの作品の構図と張り合えるだなんて、決して思っていません。
ただ、海、青空、古い車、古びた建物に描かれたロゴ、そんな要素が一致していただけです。
海を愛する方の絵。
今でもしっかりと活躍されている。鈴木さんの息の長い芸術活動に、感動のため息が出ます。
もし、鈴木さんが伊東の海を描くとするなら、どこを描くのかな。
そのイラストの一つは、私が迷い込んだこの浜辺を描いてほしい。
あり得ない空想ですが、そんな風に願っています。
しばらくスクーターで走ってゆくと、まったく見慣れない海の風景。
ここは、富戸(ふと)あたりでしょうか。
グレーの岩肌が、荒々しさを感じさせます。
遠くに見えるあの島は・・・伊豆大島です。
子供の頃に一度だけ、フェリーに乗って家族でゆきました。
ほとんど覚えていないのですが、二つだけ記憶があります。
ひとつは、体験ダイビングに参加したこと。
インストラクターさんに手をつないでもらい、海に潜りました。
海底の岩上に、手のひらほどもある大きな三角の巻貝を見つけ、つい手にとってしまって・・・
だめだよ、とたしなめられ、元の位置に戻して帰りました。
ダイビングの後にいただいた、山盛りの麻婆豆腐も忘れられません。
もうひとつは、ホテルのプールで、日に焼けた男の子に出会ったこと。
日本人とは違う、南洋系のエキゾチックな顔立ちの子で、
その子の美しい姿と黒い瞳に魅了されました。
すると向こうもこちらをじっと見返してきたのです。
睨むのではなく、お互いに遠くから見つめ合っていました。
私は「いったいどこから来た子なのだろう」と子供心に思っていました。
ひょっとすると、向こうも私のことを「どこから来た子だろう」と思っていたに違いありません。
大島を後にしてからも、その後何年たっても、
その子の姿と黒い瞳をたびたび思い出します。
いつかどこかでまた会えたらいいな、と。
もしかすると、これが私の初恋だったのかもしれません。
昔、ラジオから流れてきた歌がありました。
「今年の夏は忘れないでしょう」という歌詞。
どなたが歌ったものか未だに分かりませんが、
時折記憶と共に流れてくるメロディ。
あの子の黒い瞳と金色の水面・・・幼い夏の想い出。
長い道草のあと、「See The Forest」に立ち寄って遅い昼食。
想い出に浸りながらいただくサンドイッチの味は、サバの風味でした。
すきっ腹に沁みるおいしさ。御馳走様でした。
地図のないスクーター旅、まためぐりたいと思います。